Neuralism(by 奥田一貴)

最新の脳科学研究についてのブログ。自身は脳神経科学分野で学術研究を世に広める仕事をしています。

はじめに

 

f:id:kazutakaokuda:20170930214412p:plain Eugène Henri Paul Gauguin 「D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?」

これはゴーギャンの有名な「我々はどこからきたのか。我々は何者なのか。我々はどこへ行くのか。」という皆さんご存知の絵画です。我々が何者で、どのような道を辿りどこへ向かうのか、これは人類にとって根源的な問いだと思います。
「我々がどこへ行くのか」と、「我々はどこから来たのか」「我々が何者なのか」という問いは密接に繋がっており、つまり、我々がどこから来て(=今までどのように振舞って来たか)、我々が何者なのか(=どういう状態にいるのか)を知ることは、我々がどこへ向かうかを知る手がかりとなります。その中で重要な要素の一つが、脳を理解することです。
当たり前のように感じてしまうかもしれませんが、人類によって生み出されるもの全ては脳の取捨選択を受けています。脳の仕組みにスムーズではないものは淘汰され、脳に適合しているものが人類と共に社会を形作って行くのです。
 
人類によって作られたこの世界は脳と照らし合わせることができるのです。
「人類によって作り出される世の中の流れが脳によって説明できるなら、現在の社会やテクノロジーなどを座標にプロットし脳の関数をそこに照らし合わせることができたときに、これから歩む蓋然性の高い未来を予想することが出来る。」
こう信じています。我々はどこへ行くのか、この疑問を脳科学の視点を踏まえて考察することが、このブログの目的です。